カイロの朝
朝6時頃に、ホテルの共同バスルームでシャワーを浴びる。
乾燥して埃っぽい空気のなか浴びるシャワーは気持ち良かった。
ホテルは全体的に、綺麗ではなかったが清潔だ。始めて「綺麗」と「清潔」は別ものだということを認識した。
元々は白かったであろうシーツは汚れが蓄積され、薄黒くなっていて「綺麗」とは思えなかった。
でもしっかり洗われていて「清潔」だった。
ナイル川の上流の街アスワンにいきたかったので、ラムセスステーションへ夜行列車のチケットを買いにいく。
地下鉄に行ってもよかったが、カイロの朝の風景が見たかったので歩くことにした。
ホテルのフロントのおにいちゃんが駅のチケット売り場は朝早くやっているとおしえてくれたが、寝台列車の窓口は9時からだった。
9時前に到着したから時間ができた。
ブラブラとカイロの街を散歩することにした。
焼けたエンジンの匂い。
けたたましくなるクラクション。
排気ガスに混じったオイルの匂い。
呼び込みの大声と怒声。
乾いた空気に、砂埃を巻き上げる車。
バスにしがみつく人々。
行き交う車を縫うように道路を横断していく人々。
「混沌」という言葉がよく似合う街だった。
駅前で1時間ぐらいボケーッと座って、人間観察していた。
やたらとみんなこっちを見てくる。他の国ならそんなに注目されないのに、なんでだ。。。
これじゃ観察してるのかされてるのわからない。
目立つ格好してるわけじゃないのに・・・。
後に気が付いたが、この国は華僑がいないから、アジア人は珍しいようだ。
そういえば、華僑のいない国にははじめきた。
9時に夜行列車のチケット売り場に係りの人が来て、今日の夜のアスワン行きのチケットを買えた。
いざ!ピラミッドへ!!
タクシーでギザのピラミッドへ向かう。
何人かのおっちゃんと値段交渉して、一番安かった15ポンド(300円)でいくことに。タクシーはチケット売り場ではなく、ラクダ乗り場に到着した。
しかも、タクシー代はフィフティーン(15)じゃなくて、フィフティー(50)だといいだす。
「おいおいここは、チケット売り場じゃないだろう、チケットオフィスにいってくれ」と口論しているとラクダ商人のおっさんがタクシーに乗り込んでくる。
タクシーの運ちゃんとラクダ商人のおっちゃんと20分ほど口論。
ラクダ商人のおっちゃんは政府に認定を持っていると写真付きのカードを出してきたり、なんだかんだいってくる。
アラビア語が読めないけど、きっと運転免許書とかなんだろう。
この時点で私のテンションは異様に低くなっていた。
結局、口論に負け、ロバに乗って2時間ほどピラミッドの周りを観光する。
タクシーに50ポンド(1000円)、ロバに150ポンド(3000円)で乗ることに。ぼったくられた。
観光中もおっさんとの駆け引きは続く・・・・。
おっさんいわく、払った150ポンドはお前のロバ代だと、ガイドの俺様への料金と、俺様のロバ代をまだ払ってないといいだす。
そして写真代etcetc.
正直ピラミッドどころじゃない。
おっさんが気になったしょうがない。
メンカウラー王のピラミッド、カフラー王のピラミッド、クフ王のピラミッドをロバにまたがってみて、スフィンクスも見た。
でも気になるのはおっさん、
どこでどんな罠を仕掛けてくるかわからない。
結局が金がないってことで押し通して、150ポンドを払う。
相場は1時間で20ポンド程だとか。
ちなみにこのおっさん(ハサン)は、明らかに闇業者で、正規の入り口ではないところから砂漠に入り、 あちこちであうツアリストポリスという警官に、袖の下を渡して回ってたし。
「やまもとやまー、はっはっはっ」という日本語がハサンの持ちネタだ。
観光客がほとんどいないルートばかりを通る。
強いて良かったことを上げれば他の観光客がいないことと、通常見れないルートを通れたので発掘作業現場を見れたことかな。
帰りは金がないから、タクシーで帰れないからバス乗り場まで案内しろというと、ロバでバス乗り場まで乗っけていってくれた。
エジプト初日から、なんかいやな思い出を作ってしまった。
せっかくのピラミッドには集中できないはし、おっさん達にはぼられるし。。。。。
少しへこんで、少しエジプトが嫌いになった。
不運(?)はまだまだ続く。
帰りに乗ったバスはエンジントラブルを起こして、途中で止まってしまう。。
タクシーでギザに来るときになんとなく方向感覚は掴んでいたので、歩いてカイロのダウンタウンまで帰ることにした。
方向感覚はつかめていても、まだ距離感覚がつかめていなくて1時間以上歩くはめにになってしまった。
歩いていく道沿いのお店や、学校、公園、路地裏を眺めながら散歩する。
芸術家 昼下がりに、ダウンタウンに着くと、おにーちゃんが話しかけてくる。
「タクシーに乗れとか、僕は言わないよ、僕は日本が大好きなんだ」
「僕はへんな人じゃないよ」
とか、自分が怪しくないとか、アピールしてくる。とにかく怪しい。
「『自分を信用しろ』という人間を絶対に信用してはいけない」とドラマ『家なき子』で言ってたっけ。。。
とりあえず腹が減ったから、飯屋を紹介してもらうことに。
このおにーちゃんは、シャワルマというパンに肉を挟んだサンドイッチが売ってる店を紹介してくれた。
案の定、『自分は芸術家だから作品を見に来てほしい』と言い出す。。。。
結局、香水売りのオニーちゃんだった。
この国はなんなんだか。。。
だんだん腹が立ってきた。
おにーちゃんにチョット凄んで、『いかねぇーよ』と告げるが、しばらくついてくる。
めんどくさい。。。
しばらくほっとくと諦めたようだ。。。
うーん。
疲れる国だ。
エジプト考古学博物館 エジプト考古学博物館には、ピラミッドの内部の装飾品等のエジプト中の宝が集められていた。
事前に歴史をちょこっと勉強していったから、なかなか楽しめた。
ピラミッドの内部の壁画には、その当時の生活が刻まれていて農作物を作る人や、服を織る人など 日常生活が描かれていて当時の生活が想像できて面白かった。
エジプト中の宝を、世界中の人が見に来ていた。
隣に座ってきたお婆さんが、何処から来たの?と話かけてきた。
日本からだと答えると、日本の自動車メーカーや電気メーカーの名前を列挙してくる。なかなか親日派のおばあさんだった。
お婆さんはアメリカのロサンゼルスから来たとのことで、自分も1ヶ月ほど留学したことがあったので話が弾んだ。
3時間ぐらいで一通り見て、1階の吹き抜けになってる中央ギャラリーでしばらくボーッとしていると、空気がひんやりしていて、 静かで気持ちのいい時間が流れた。
腹がへってきたので考古学博物館をでてことにした。
写真撮影禁止だったのが、残念。
ナイル上流へ 晩飯にはコシャリという、米とパスタとマカロニの混ぜものにトマトソースをぶっ掛けたようなものを食べた。
意外にこれがいける。
ホテルに荷物を取りにいき、寝台列車(ナイルエクスプレス)でナイルの上流の街アスワンを目指す。
ラムセスステーションについてからチケットを見たが、アラビア語だらけでどこに行けばいいかわからない。
何人かの駅員っぽいおじさんにチケットを見せて、指差された方向にすすんでいって、なんとか自分の車両 にたどりついて、寝台の個室に入った。
うぉ相部屋だ。。
チケット確認すると確かに、シングルになってない。
カナダ人のハンスと相部屋だったけど、3人グループだったらしく、終始となりの部屋に入り浸ってるので実質 1人部屋だった。
今日は、すでにクタクタだったから、すぐに寝れた。
それにしてもカイロはタフな街だ。
今日は、今までの人生で一番、自分を積極的に騙そうとする人に多く出逢った日だったなぁ。
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